これは、1970年の小学四年生1月号(発売は1969年12月)に掲載された作品です。
てんとう虫コミックスの最初のお話なので、ドラえもん登場のお話として、この作品が最もポピュラーだと思います。
初登場のドラえもん、今と違って、
ずんぐりむっくりしています。
これはこれでかわいらしくて良いですね。
ドラえもんと一緒に、のび太の
孫の孫である、
セワシくんもやってきます。
のび太は、二人に手渡されたアルバムにより、惨憺たる未来を見せつけられます。
この未来は、何一つ良いことがなく、本当に悲惨なものです。
セワシ: きみののこした借金がおおきすぎて、百年たってもかえしきれないんだよ。
だから、ぼくのうちはとってもびんぼうで……、今年のお年玉がたった五十円。
それはそれは……。のび太もかなり責任を感じて、涙を流しながら、
ぼくはもう、生きてるのがいやになっちゃった。
心中お察しします……。でも、落胆することはないようです。
ドラえもん: そんなに気を落とすなよ。
セワシ: 運命は変えることだってできるんだから。
おお、それは朗報ですね。ん? だけど……。
のび太: ぼくの運命が変わったら、きみは生まれてこないことになるぜ。
そうそう。のび太もなかなか鋭い。でも、問題ないらしいです。
セワシ: 心配はいらない。ほかでつりあいをとるから。歴史の流れが変わっても、けっきょくぼくは生まれてくるよ。たとえば、きみが大阪へ行くとする。いろんな乗りものや道すじがある。だけど、どれを選んでも、方角さえ正しければ大阪へ着けるんだ。
長くて丁寧な説明、ありがとうございます。
だけど……うーん、何かうまく言いくるめられた気がしないでもないんですけどね……。
のび太の未来が変わると、結婚相手もジャイ子から
しずかちゃんに変わることになるわけだけど、
ジャイ子の子孫だったはずのセワシくんは、のび太の結婚相手がしずかちゃんになっても、ちゃんと生まれてくることができるの?
ま、細かいことはいいか。きっとうまくいくんだね。
こうして、のび太とドラえもんの共同生活が始まりました。